南国で休暇を取りながらFXを取引する男性

FX 投資

FX(外国為替取引)とは何か?|長期投資における投資戦略

FX(Foreign Exchange)とは、異なる国の通貨を交換する取引のことです。

私は外国為替を二国間の経済の不均衡を調整する調整弁のような役割だと捉えています。

二つの国が経済的に安定した均衡状態を保っている場合は、為替レートはそれほど大きく動かないか、少しずつ一方向に動いていく傾向があります。

しかし、いったんその均衡が崩れると、為替レートはその不均衡を解消するために新たな均衡まで急速に動く性質があります。

FXには投資戦略に活かせるいくつかの特徴があります。この記事では、それに基づいた私なりの投資戦略を記載したいと思います。


FXの特徴|4つの視点で解説

FXには、投資家が活用できる様々な特徴があります。これらを「制度的」「マクロ経済的」「取引」「値動き」の4つの視点から見ていきます。


制度的な特徴(投資家が知るべきポイント)

レバレッジ取引で少額から大きな利益を狙える仕組み

FXの最大の魅力であり、同時にリスクでもあるのがこの「レバレッジ」です。

投資家は「証拠金」という仕組みを利用することで、口座残高の何倍もの金額を取引できます。

国内FX業者では金融庁の規制により最大25倍のレバレッジが認められています。一方、海外のFX業者では数百倍のレバレッジを提供するところも存在します。

例えば、10万円の資金で25倍のレバレッジを使えば、250万円分の取引が可能になります。

この仕組みを理解し、適切に利用することで、少額からでも大きなリターンを狙える一方で、使い方を誤れば短時間で大きな損失を被るリスクもあります。


売買手数料・スプレッドが極小

FXは、頻繁な売買を繰り返すデイトレードやスキャルピングに適したコスト構造を持っています。

多くのFX会社では、1回の取引にかかる売買手数料はゼロです。

また、買値と売値の差である「スプレッド」も非常に小さいため、取引コストをほとんど気にすることなく売買が可能です。

手数料を徴収する会社もありますが、その場合、代わりにスワップポイント(スワップ金利)が高く設定されている傾向があります。


スワップポイント(金利差益)がある

通貨ペア間の政策金利の差から生じる金利調整額のことです。

金利が高い国の通貨を買い、低い国の通貨を売るポジションを保有すると、毎日プラスのスワップポイントを受け取ることができます。

これは、為替レートが動かなくても、ポジションを保有しているだけで利益を得られるユニークな特徴です。

長期投資において、このスワップポイントを狙った「キャリートレード」も有効な戦略となります。


自動売買システムが使える

FX会社の中には、「リピート系」と呼ばれる自動売買システムを一般ユーザーに提供しているところが多くあります。

これは、あらかじめ設定した価格帯で自動的に売買を繰り返すシステムで、感情に左右されない機械的な取引が可能になります。

さらに、MT4(MetaTrader4)やMT5(MetaTrader5)というプラットフォームでは、MQLというプログラミング言語を使って自分だけの自動売買プログラム(EA:Expert Advisor)を開発することも可能です。

これにより、感情に左右されず、あらかじめ定めたルールに基づいて機械的に取引を実行できます。


マクロ経済的な特徴

経済政策と中央銀行の動向がFX相場に影響を与える

為替レートは、その国の経済状態や政府・中央銀行の政策に強く影響されます。

中央銀行は、物価安定や雇用確保といった目的を達成するために、政策金利や通貨供給量を調整します。

また、政府も為替介入や貿易政策を通じて為替レートに影響を与えることがあります。

日本では、財務省が為替介入を行うことがあり、急激な円高・円安を是正しようとします。

FX投資家は、これらの経済政策の動向を常に注視する必要があります。


インフレーションと為替レートの複雑な関係性

インフレーション(物価上昇)は、通貨の購買力が低下することを意味します。

一般的には、他国に比べてインフレ率が高い国の通貨は価値が下がりやすくなります。

しかし、例外もあります。成長期待が高い国では、インフレが進んでいても、将来の経済拡大を見込んで投資が集まり、通貨が強くなることがあります。


インフレーションと為替レートの複雑な関係性

経済成長が期待される国は、投資の対象となりやすいです。

投資家はその国の通貨を買い、インフラ整備や企業活動への投資を活発化させます。

この投資需要は、インフレ圧力がある中でもその国の通貨を強くする要因となり得ます。


取引の特徴

レバレッジがかけられる

投資家は成長する国への期待が高いほどレバレッジを効かせて投資するため、経済成長より通貨の変動が急になることがあります。


キャリートレード

キャリートレードとは、金利の低い通貨を借りて、金利の高い通貨に投資する取引を言います。

金利差による利益(スワップポイント)と、高金利通貨が強くなることでキャピタルゲイン(値上がり益)の両方を狙うことができます。

ただし、リスクオフ(リスク回避)の局面では、キャリートレードが一斉に巻き戻され、急激な相場変動が起こることがあります。


値動きの特徴

急激な価格変動

FX市場は24時間取引が行われ、通常は株などと比べて値動きは穏やかです。

しかし、重要な経済指標の発表や要人の発言、地政学的なイベントなどをきっかけに、それまで積み重ねられてきた信用やレバレッジが一気に解消され、相場が急激に変動することがあります。

この大きな変動は、短期間で大きな利益をもたらす可能性がある一方、大きなリスクも伴います。


経済政策/経済指標の発表に反応する

政策金利の決定や雇用統計、消費者物価指数(CPI)発表などの重要な経済指標が想定外の結果だった場合、相場が大きく動くことがあります。


FXのパフォーマンスについて

私がリピート系FXについて調査した結果

随分前の話ですが、MQL4で自作自動売買プログラム(EA)を作って実際に売買やバックテストをしたり、為替データをダウンロードしてJavaなどで調査プログラムを作って自動売買のロジックを評価したりしてました。

そのなかで、固定の価格・固定幅で売買を繰り返す、いわゆるリピート取引でどれくらいの成果が得られるのか、調査したことがあります。


リピート取引の年間の利益幅は大体5%~15%ぐらい

選択する通貨ペアや値動き、売買の値幅などのパラメータに依存しますが、安全性を重視して取引しようとすると大体5%~15%ぐらいの年間利益に収まることが多いことが分かりました。

これは、極めて高いリターンは狙いにくいものの、比較的安定した利益を積み重ねられることを示唆しています。


利益は投資開始時期に大きく依存する

リピート取引のパフォーマンスは、取引を開始する時期に大きく依存します。

長期的な底値近くでリピート取引を開始した場合、他の要素より大きな利益を得ることができます。

これは、リピート取引が「逆張り」の性質を持つためです。

相場が一方向に動く局面では不利になりますが、レンジ相場では力を発揮します。


相場との相性|横ばいの時でも利益が出るが、一方向に動くときは裏目に出る

相場がレンジ相場(横ばい)の時は、他の投資手法が停滞する中でも、リピート取引は小さな利益を積み重ねるため、良好なパフォーマンスを示します。

しかし、相場が一方向に動くトレンド相場では、常に逆張りポジションを持つことになるため、含み損が膨らみやすく、パフォーマンスが悪化する傾向があります。


売買フィルタを入れるとパフォーマンスが良くなる

単純に指値に来たら無条件に売買するのではなく、「売買フィルタ(特定の条件を満たす時は売買しない)」を加えるとパフォーマンスが良くなることがあります。

例えば、短期の時間足で見て一方向への動きがなくなるまで売買しない条件を入れたり、急激に動くとすぐに売買する条件などを入れると利益を増やせることがあります。


私のFX投資戦略

FXの特徴と私が調査した経験から、FX主体で積極的に投資するのではなく、余剰資金を活用し、適切なタイミングを見計らった投資が良いという考えに至りました。

なぜなら、FXの特徴を鑑みると、株や仮想通貨など、価格が上昇し続ける可能性のあるものに資金を回したほうが効率が良いからです。

それを踏まえて以下のような投資戦略で十分という考えに至りました。


予想ではなく結果で投資する

大きな下落後にエントリー

世界的な金融危機のような、信用やレバレッジが強制的に解消されるような大きな下落があった時をチャンスととらえます。

市場の混乱で株などの資産から資金が引き揚げられ、為替市場にも影響が出た時に、株などを手仕舞った資金でFXにエントリーすると、良い条件で取引を開始できます。


無理のないレバレッジでリピート取引を開始

まだ下落が続く可能性を考慮し、レバレッジを1倍以下に抑えて、リピート取引を始めます。

この段階では大きな利益を狙わず、小さな利益をコツコツと積み重ねることを目指します。


トレンド発生でリピート取引を休止

相場が一方的な上昇トレンドに転じたら、リピート取引はストップします。

トレンドに逆らう売買を避けることで、含み益が積み上がるのを待ちます。


含み益が増えたら押し目で追加購入

順調に含み益が増えてきたら、一時的な押し目(価格が一時的に下がるタイミング)で追加購入を行います。

この際、含み益があるため精神的な余裕が生まれます。追加ポジションの決済指値を損益分岐点付近に設定することで、早めのリスク対策になります。

これにより、「利益の範囲内でリスクを取る」という理想的な状態を作り出せます。


横ばい中はリピート取引、傾向が出た場合は中止を繰り返す

その後は、相場が横ばいになったらリピート取引を再開し、トレンドが出たら休止するというサイクルを繰り返します。

いずれ通用しなくなりますが、それまで粛々と続けます。

市場環境は常に変化するため、永遠に有効な戦略は存在しません。

しかし、基本的な原理原則に基づいた戦略は、長期間にわたって機能する可能性が高いのです。


資金効率を最大化する方法

損益分岐点に決済の指値を入れれば、証拠金を多く口座に入れておく必要はないため、その資金を別の投資に利用することができます。

例えば、FX口座に100万円入れておく代わりに、30万円だけ入れて、残りの70万円は株式投資や債券投資に回すことができます。

これにより、資金全体の効率を高められます。


出口戦略

下落が鮮明になる時期が来たら見切りをつけてポジションを解消して、次の大きな下落まで待ちます。


FX初心者が避けるべき5つの失敗パターン

1. 高レバレッジでの一発勝負

「少額で大きく稼ぎたい」という欲望から、高レバレッジで一発勝負をしてしまう初心者が多くいます。しかし、これは最も危険な行為です。

高レバレッジでは、わずかな値動きで大きな含み損を抱え、ロスカットされてしまいます。

レバレッジは取引手法や自分の心理を考えて、無理のない範囲に抑えることが大事です。


2. 損切りができない

「もう少し待てば戻るかもしれない」という期待から、損切りを先延ばしにしてしまう心理は誰にでもあります。

しかし、これは致命的な損失につながります。

損切りは「負けを認める」のではなく、「より良い次の機会のために資金を温存する」行為です。

事前に決めた損切りラインは、必ず守りましょう。


3. 感情的な取引(リベンジトレード)

損失を取り戻そうと、冷静さを失って無謀な取引を繰り返すことを「リベンジトレード」と呼びます。

これは損失を拡大させる最悪のパターンです。

FXはひとつの取引で勝敗が決まるものではありません。

大きな損失を出したら、いったん取引を休止し、冷静さを取り戻してから再開しましょう。


4. 根拠のないポジション保有

「なんとなく上がりそう」という曖昧な理由でポジションを持つことは避けるべきです。

必ず、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析に基づいた明確な根拠を持ちましょう。

また、ポジションを持ったら、その根拠が崩れた時点で速やかに決済することが重要です。


5. 勝っている時の油断

連勝が続くと、「自分は相場を読める」と過信してしまいがちです。

しかし、相場は常に変化しており、過去の成功が将来の成功を保証するものではありません。

勝っている時こそ、謙虚な姿勢を保ち、リスク管理を徹底しましょう。


FX投資の心の安定

FXとは気楽に付き合うのが一番です。

心の安定メモ

  • FXの仕組み上、大勝ちはあまり期待できないので、補助的な投資だと割り切ることです。
  • マイナスの状態ではレバレッジを1倍以下にして、単に金利の高い別の国の通貨を保持しているだけだと考えることです。
  • レバレッジを1倍以上にする場合は、利益が出ている状態で購入して、損益分岐点ぐらいに決済の指値をいれて、指値に引っかかっても気にしないことです。
  • 円を持っていても他の通貨を持っていても、相対的な価値は日々変動しているので、現金で資産を持っていることに変わりはないと認識することです。

そうすれば、心穏やかに投資することができるでしょう。


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