CFD(Contract for Difference:差金決済取引)が世間に浸透してからだいぶ時が経った気がします。
FXもCFDの一種なのですが、通貨が先にFXとして世間に浸透して、その後、株式や債券、コモディティ(商品)、株価指数が浸透した、というのが実際のところです。
そのため世間では、CFDは「株式や債券、コモディティ、株価指数などの原資産を実際に保有することなく、その価格の変動分だけを売買できる金融商品」と定義したほうがよさそうです。
この記事では、CFDの特徴と私の使い方を記載します。
CFDの特徴
このCFDという「売買ツール」が持つ独自の魅力とリスクを深く理解しておくことは、賢く資産運用を行う上で非常に重要です。
この記事では、CFDの特徴、メリット・デメリット、そして具体的な活用方法について、私なりに考えた内容でお伝えします。
CFDの特徴|メリット
CFDの最大のメリットは、その多様な投資対象とレバレッジの力にあります。
一つの口座で、世界の幅広い市場に手軽にアクセスできるのが大きな利点です。
多様な投資対象
CFDは、一つの口座で非常に幅広い金融商品に投資できるのが大きなメリットです。
- 個別株式: 日本株、米国株、欧州株など、世界中の個別企業の株をCFDで取引できます。
- 株価指数: 日経平均株価やS&P500、NASDAQ100、FTSE100など、指数そのものに投資できます。これにより、特定の国の経済全体の動向にまとめて投資することが可能です。
- コモディティ(商品): 原油、金、銀、天然ガス、コーン、大豆など、現物を保有することなく取引できます。
- 債券: 日本国債や米国債など、国債に投資できます。
これにより、株式市場だけでなく、商品市場や債券市場など、様々な市場のチャンスを逃すことなく取引できます。
レバレッジが使える
CFDはレバレッジを効かせることができるため、少額の資金で大きな取引ができます。
これにより、少ない元手で効率よく利益を狙うことができます。
例えば、レバレッジ10倍のCFDなら、10万円の証拠金で100万円分の取引が可能です。
ただし、レバレッジは利益を増幅させる一方で、損失も増幅させるため、リスク管理を徹底する必要があります。
24時間取引可能
多くのCFD銘柄は、その原資産となる市場が開いている時間帯であればほぼ24時間取引が可能です。
これにより、日中忙しい人でも夜間や早朝に取引を行ったり、海外市場の動向にリアルタイムで対応したりすることができます。
申告分離課税
CFDはFXと同様に申告分離課税が適用されます。
税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)であることも、利益を上げた際の大きなメリットです。
さらに、CFDとFXの損益は通算できます。
CFDで損失を出した場合でも、FXの利益と相殺することで税負担を減らすことができます。
加えて、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越せるのも大きなメリットです。
CFDのデメリット|見落としがちなコストと取引期限
CFDには、その手軽さの裏に潜むデメリットがあることも理解しておく必要があります。
特に、以下の2点はCFD取引を始める前に必ず知っておくべきポイントです。
高い調整金(ファンディングコスト)
CFDを日をまたいで保有すると、金利や配当の調整金(ファンディングコスト)というコストが発生します。
これは、実物を保有せずにレバレッジをかけていることに対して支払うコストであり、保有期間が長くなるほどコスト負担が増えていきます。
高い調整金は、CFDが中長期投資に不向きとされる最大の理由です。
例えば、原油や金などのコモディティCFDは、特にこの調整金が高く設定されていることがあります。
これを無視して長期保有すると、利益が出ていても調整金で相殺されてしまうこともあります。
限月がある(一部の銘柄)
先物や商品などを原資産とするCFDには、「限月」という取引期限が設定されているものがあります。
これは、取引期限を過ぎると自動的に決済されてしまう仕組みです。
CFDでは自動的に決済された後に次の限月のポジションが自動的に購入されます。
このとき、同じ価格ではなく、投資家にとって不利に働く価格差(ロールオーバーコスト)があります。
長期的にポジションを保有し続けると、この価格差が費用として大きくなるため、長期投資には向きません。
CFDの賢い使い方
短期的な売買ツールとして活用する
CFDのこれらの特徴から、私が提唱する賢いCFDの使い方は、「中長期投資には向かず、強力な短期売買取引ツールとして使う」ということです。
強いトレンドを追いかける
株価指数やコモディティなど、特定のイベントをきっかけに一方的なトレンドが発生しやすい銘柄をCFDで取引することは非常に有効です。
高いレバレッジを活かし、トレンドが発生したタイミングで素早くエントリーし、短期間で利益を確定させることで、高い調整金のリスクを避けることができます。
超短期的なレバレッジの活用
保有しているポジションの利益が増加する強力なトレンドが発生したときのみ、それまでの利益を担保にしてレバレッジを上げて利益の最大化を狙うことができます。
ただし、これは慌てて行動に出るのではなく、この賭けに出るかどうか事前に判断することが重要です。
ヘッジ(リスク回避)手段として
CFDは、保有している現物株式のリスクをヘッジする保険としても使えます。
例えば、保有している日本株が一時的に下落しそうだと予想した場合、同じ銘柄のCFDを売り建てることで、現物株の含み損をCFDの利益で相殺し、損失を限定することができます。
傍流の投資方法|VIX(恐怖指数)の売り
市場の不安心理が高まると上昇するVIX指数をCFDで取引することも可能です。
市場が不安定になりVIX指数が上昇した時に売りで入り、市場が安定してVIX指数が下落した後はそのままVIX指数の売りポジションを保有し続けます。
そうすると、プラスの調整金(インバース金利)を受け取れることがあります。
ただし、これは市場が安定する方向へ向かうという前提に立った投資であり、市場が急落すると大きな損失を被るリスクがあるため、資金管理を徹底して行う必要があります。
まとめ|CFDを「賢く使う」ための提言
CFDは、多種多様な資産に少額から投資できる強力な「売買ツール」です。しかし、その高い調整金や取引期限から、長期保有には向いていません。
CFDを使いこなすためには、その性質を正しく理解し、短期的な価格変動を狙った取引に集中することが重要です。
チャンスが来た時のみ、この強力なツールを使って積極的に利益を狙う。これが、私のCFDを使い方です。
よくある質問(FAQ)
Q1. CFDとFXの違いは何ですか?
CFDとFXは同じ差金決済取引の仕組みですが、取引対象が異なります。
FXは通貨ペアのみを取引するのに対し、CFDは株式、株価指数、コモディティ、債券など幅広い金融商品を取引できます。
一つの口座で多様な市場にアクセスしたい方にはCFDが適しています。
Q2. CFDは長期投資に向いていますか?
CFDは長期投資には向いていません。
第一に、ポジションを日をまたいで保有すると高い調整金(ファンディングコスト)が発生し、保有期間が長くなるほどコストが積み上がります。
第二に、先物や商品CFDには限月(取引期限)があり、ロールオーバー時に価格差によるコストが発生します。
CFDは短期的な価格変動を狙った売買ツールとして活用するのが賢明です。
Q3. CFD取引で税金はどうなりますか?
CFD取引の利益には申告分離課税が適用され、税率は一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)です。
大きなメリットとして、CFDとFXの損益は通算できるため、一方で損失が出ても他方の利益と相殺して税負担を軽減できます。
さらに、損失が出た場合は翌年以降3年間にわたって繰り越すことができ、将来の利益と相殺可能です。
Q4. CFD初心者におすすめの使い方はありますか?
CFD初心者には、まず株価指数CFD(日経平均やS&P500など)から始めることをおすすめします。
個別銘柄より値動きが比較的安定しており、明確なトレンドが発生しやすいためです。
取引スタイルとしては、強いトレンドが発生したタイミングで短期間エントリーし、素早く利益確定する方法が有効です。
必ず少額から始め、調整金のコストを意識しながら経験を積みましょう。
CFD投資の心の安定
CFDはたまにしか使わないツールとして以下のように考えます。
心の安定メモ
- 短期売買でしか使わないことです。
- すぐに決済すること前提で投資することです。
- チャンスが来た時だけ投資することです。
- 投資していない期間があっても当たり前と思うことです。
このように考えれば、心穏やかに投資することができます。